体重を乗せると股関節に激痛!~大腿骨頭壊死症も視野に・・

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体重を乗せると股関節に激痛!~大腿骨頭壊死症も視野に・・

股関節の痛みを訴えて来院された患者さん

「突然仕事中に股関節の痛みを感じたが、我慢して仕事を続けていた。冬期間は仕事が忙しくてなかなか病院に行けなかったが、夏になってようやく病院に足を運んだ。レントゲン検査をしたが特に異常はなく、筋肉の疲労と診断され、痛み止めの薬と湿布薬をもらった。痛み止めを飲むと治まるが、疲れると痛みが出る状態だった。

再び暮れに病院に行き、レントゲン、MRIなどの検査により突発性大腿骨骨頭壊死の診断を受けた。最初は筋肉痛と診断されていたので、病気を知ったときは信じられない気もちだった。

●大腿骨頭壊死症とは

大腿骨頭の一部が、血流の低下により壊死(骨が腐った状態ではなく、血が通わなくなって骨組織が死んだ状態)に陥った状態です。骨壊死が起こることと、痛みが出現することには時間的に差があることに注意が必要です。

つまり、骨壊死があるだけでは痛みはありません。骨壊死に陥った部分が潰れることにより、痛みが出現します。したがって、骨壊死はあっても、壊死の範囲が小さい場合などでは生涯にわたり痛みをきたさないこともあります。

●どんな人がなるの?

よく言われているのは大量に飲酒される方や、ステロイドというお薬を大量に投与を受けた方に比較的多く発生しますが、何の誘因もなく生じることもあります。

●原因

ステロイド関連、アルコール関連、そして明らかな危険因子のないものに分類されています。以下の2つは、強い危険因子といわれています。

・「ステロイド薬を一日平均で15mg以上程度(代表的なステロイド薬のプレドニゾロン換算)、服用したことがある」

・「お酒を日本酒で2合以上、毎日飲んでいる」

なお、ステロイド薬はいろいろな病気の治療のために使用します。既に処方されているステロイド薬を勝手に中止したり、量を減らすと、元の病気が悪化することや具合が悪くなることがありますので、決して自己判断で中止したり減らしたりしないでください。

●症状

骨壊死が発生しただけの時点では自覚症状はありません。症状は骨壊死に陥った部分が潰れて大腿骨頭に圧潰が生じたときに出現します。

大腿骨頭壊死症の発生から症状が出現するまでの間には数ヵ月から数年の時間差があります。

自覚症状としては、比較的急に生じる股関節部痛が特徴的ですが、腰痛、膝痛、殿部痛などで発症する場合もあります。 初期の痛みは安静によって2~3週で軽減することもありますが、大腿骨頭の圧潰の進行に伴って再び増強します。

●治療

(1)保存療法(手術をしない治療)

壊死の大きさや位置から予後がよいと判断できる場合や症状がない場合は保存療法の適応です。

疼痛が強い時期には安静が大切です。杖による免荷や、体重維持、長距離歩行の制限、重量物の運搬禁止などの生活指導を行います。

しかしながら、これらの方法では圧潰の進行防止は大きく期待できないため、圧潰進行が危惧される場合は骨頭温存のための手術療法の時機を逸しないことが重要です。

症状が出現すれば、変形が進む前に手術療法を受ける方が治療効果は高くなります。

医師の指示を仰いでください

(2)手術療法

自覚症状があり圧潰の進行が予想されるときは速やかに手術適応を決定します。若年者においては自分の関節を残す骨切り術が第一選択となりますが、壊死範囲の大きい場合や骨頭圧潰が進んだ症例、高齢者などでは人工関節置換術が必要となることもあります。

●その後、どのようになっていくの?

もともと血液循環の悪いところだけが壊死するので、その周囲の比較的血液循環のよい部分は時間が経過してもそのままです。 したがって、細菌感染のように周囲に広がることはなく、ほとんどの場合、大きさに変化はありません。逆に、範囲が小さい場合は修復されて時間の経過とともに縮小することがあります。

●日常、注意すること

骨壊死が大腿骨頭に発生した場合、骨壊死部が潰れて大腿骨頭が圧潰しないように、股関節に負荷をできるだけかけないようにすることが大事です。杖による免荷や、長距離歩行・階段昇降の制限、重量物の運搬禁止などの生活指導が行われますが、これらの方法では圧潰の進行防止は大きく期待できないため、圧潰進行が危惧される病型では骨頭温存のための手術療法の時機を逸しないことが重要です。

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